Español
政治・経済情報

ホンジュラス内政・外交月報 〈2009年8月〉  

Ⅰ.内政

1.6月28日政変に関する主な出来事

(1)4日、メキシコを訪問しカルデロン同国大統領と会談したセラヤ大統領は、国際社会の圧力もありアリアス・コスタリカ大統領の仲介による対話のプロセスに復帰する旨決定した。これに対しカルデロン大統領はアリアス大統領を評価するとともに、サンホセ合意案を本件の平和的解決に向けた方策であると発言した。またメキシコは様々な機会にセラヤ大統領の復職を主張していると言及した。
(2)12日、ブラジルを訪問しルーラ同国大統領と会談したセラヤ大統領は、オバマ米政権は国連決議の承認等に尽力したものの、ホンジュラスにおける民主主義への攻撃に対しより強い姿勢を示す必要があると発言した。
(3)13日、チリを訪問したセラヤ大統領はバチェレ同国大統領と会談した後、「殺害の脅迫を受けているため当面ホンジュラスに帰国する予定はない」と発言した。同日、チリ外務省はデファクト政権により実施される総選挙は認められない旨発表した。
(4)24日、サンホセ合意案に関する協議のためアルゼンチン、カナダ、コスタリカ、ジャマイカ、メキシコ、パナマ、ドミニカ共和国各国外相及びインスルサOAS事務総長から成るOAS委員会はホンジュラスを訪問し、セラヤ派、ミチェレティ派両派の各セクターと会談した。
25日、OAS委員会はミチェレティ「大統領」と大統領府で会談した。同「大統領」は、国際社会が仮に承認しなくとも、11月29日に必ず総選挙を実施すると述べるとともに、6月28日以前の出来事を国際社会が知る必要性を主張した。
(5)25日、米国国務省は26日より緊急時等の例外を除き、ホンジュラスにおける一般ビザの発給を停止すると発表した。米国はホンジュラスにおいて昨年3万の一般ビザを発給した。
(6)26日、インスルサOAS事務総長はOAS常設理事会で外相レベル委員会のホンジュラス訪問につき口頭の報告を行った。報告の中でインスルサ事務総長は、依然合意成立の見込みがあるが、合意の余地は限られてきている旨述べた。11月実施の総選挙については新政権を承認しないと表明している国が少なからず存在することも勘案すると、選挙を通じては物事は解決しないとの見解を示した。

2.総選挙関連

(1)モラティノス・スペイン外相は、8月2日に発刊されたエル・パイス紙の中で、デファクト政権下で行われる総選挙の結果については認められないとの発言を行った。同外相はサンホセ合意案に基づき11月迄にセラヤが復職し、選挙が実施されることを期待すると発言した。
(2)20日、自薦大統領候補であるカルロス・レジェス候補(左翼過激派Bloque Popularの指導者)陣営は、ミチェレティ「大統領」がこのまま政権にとどまるようであれば、レジェス候補を含め、各地の「クーデターに反対する候補」の立候補を取り下げると発表した。
(3)23日、11月に実施が予定されている総選挙の有権者登録が締め切られた。選挙登録局(RNP)のスアソ次長は、55万人もの若者が登録を済ませた旨発言した。また同次長は、通常60%にとどまる若者の選挙登録が今回は70~75%に達しており、総選挙への関心が高いことの証左であると発言した。有権者数は約450万人。
(4)27日、コロン・グアテマラ政権はコミュニケを発出し、グアテマラ最高選挙管理委員会がホンジュラス総選挙に監視団を派遣すると発表したことにつき、「独立機関や分権化された機関であっても国際的な決定事項は行政府の政策に従う」とし、右選挙協力を否定するとともに、6月28日以降にホンジュラスに成立した政権を承認しないと発表した。
(5)31日、総選挙に向けた選挙運動が開始された。今次総選挙における有権者数は約450万人と見込まれており、大統領の他2,896のポストが選出の対象となる。

3.「4番目の投票」を巡る汚職問題

(1)5日、検察は、中銀からの資金不正引き落とし問題につき、更にセラヤ前政権関係者5名に対する起訴状を提出した。5名の中には、本件の主犯であるフローレス・ランサ前大統領府大臣の他、アラケ中銀総裁、ボルハス財務次官、ラゴス電話公社総裁及びヤン財務省幹部などが含まれる。アラケ中銀総裁やヤン幹部には職権濫用や公金横領の共犯容疑が、またラゴス電話公社総裁には横領などの嫌疑がかけられている。
(2)13日、刑事裁判所は中銀からの公金不正引き出しなどに関連し、フローレス大統領府大臣、アラケ中銀総裁、ボルハス財務次官等に対する逮捕命令を下した。
(3)セラヤ派の閣僚等が制憲議会召集に関する「4番目の投票」推進のために中銀から不正に5千万レンピーラ(約265万ドル)を引き出したことが明らかになっていたが、17日、ミチェレティ「大統領」は、同5千万レンピーラの他に更に1千万レンピーラが引き出されていた旨発表した。

4.ボナノ公共事業大臣の辞任

(1)18日、ミチェレティ大統領は、ボナノ公共事業(SPTRAVI)大臣に辞任を求めるとともに、後任については全国エンジニア協会の意見も聞きつつ決定する意向を示した。ミチェレティ大統領は、18日夜ボナノ大臣と大統領府で会談予定であったが、同大臣は現れなかった。セラヤ前政権の閣僚の中でもボナノ大臣の業績は極めて疑問視されており、国会からも同大臣の更迭を求める声が出ていた。
(2)25日、ミチェレティ大統領は、既にボナノ公共事業(SOPTRAVI)大臣から辞表の提出があったと発表し、後任を早急に任命すると発言した。

Ⅱ.外交

1.米州人権委員会の当国訪問

(1)17日から21日の予定で当国を訪問した米州人権委員会のメヒア委員長(ベネズエラ人)は、17日、ミチェレティ「政権」がOASにより承認されていないことを理由に同大統領とは会談しない旨発表した。委員会は、市民社会、司法、国会、検察、国軍関係者等と会談した。
同日、ミチェレティ「大統領」は、米州人権委員会の活動につき公平さを求める旨発言した。同「大統領」は、メヒア委員長がチャベス派のベネズエラ人であることを指摘しつつも、同委員会の意見を聞くまでは委員会の活動を見守る旨発言した。
またアルバラド「外務次官」は、ベネズエラ人が長を務め、3人のアルゼンチン人と1人のチリ人から成る委員会構成を見ると、これまで(インスルサOAS事務総長が来た時)のようなミッションと同じやり方で実際にホンジュラスで起こった出来事を無視するような偏った活動するのではないか、との見方を示した。
(2)21日の記者会見で委員会は暫定報告書を発表し、クーデターを理由として4名の死者と多数の怪我人が出ているとし、真剣で公平な調査が必要であると指摘した。また国軍の不適切な活動、恣意的な逮捕、特定政治情報の制限等が見受けられると発表した。また国際的な人権基準に則らない、外出禁止令時の各種人権の停止を問題視した。また民主制度が再度定着することによりこれらの問題は解決するとした。報告書は、セラヤ派の教員組合がデモ集会出席のために授業を停止してきた事実などについては明確に言及していない。
メヒア同人権委員会委員長は記者会見の中で、今次訪問中に入手した資料等も参考にしつつ、近日中にワシントンで最終報告書を発表すると発言した。
これに対し22日、ロペス「外相」は米州人権委員会はその自立性を主張しながらも結局のところOASからの指示に基づき活動しているため、今回のホンジュラスの人権に関する報告書は特段驚くに値しないものであると指摘した。同外相は、同委員会がミチェレティ「政権」について、OASがしているのと同様に「デファクト」、「クーデター」といった用語で形容していると発言した。

2.ミチェレティ派大使の不承認問題

(1)18日、アルゼンチン政府はミチェレティ派のオルテス駐アルゼンチン・ホンジュラス大使を承認しないと発表した。アルゼンチン政府が発表したコミュニケによるとホンジュラス政府とはセラヤ派のレイナ駐米ホンジュラス大使(前大統領法律顧問)を通じて連絡を取る由。
19日、外務省は、相互主義に基づき、アルゼンチン外交団に対して21日迄にホンジュラスを出国するよう通達した。これに対し、アルゼンチン政府はミチェレティ政権を承認していないため、ベネズエラ政府がしたのと同様に外交団をホンジュラスに残した。

(2)18日、コスタリカのスターニョ外相は、ロダス外相の要請に基づきスアソ駐コスタリカ・ホンジュラス大使の外交特権を剥奪する旨発表した。ロダス外相は後任として自身の姪を任命した。

在ホンジュラス日本国大使館, Col. San Carlos, Calzada Rep. Paraguay, Tegucigalpa, M.D.C., Honduras, C.A.
(Apartado Postal 3232)

TEL : (504)236-5511, 236-6828, 236-6829
FAX : (504)236-6100